Revit 2025 .NET 8 へのアドイン移植

Revit 2025 は、.NET 8 をベースに再構築されております。そのため、Revit 2025 のアドイン開発においても、これまでの .NET Framework ではなく、.NET 8 をターゲットフレームワークに指定する必要があります。

Revit / Revit API の .NET への移行について

また、過去バージョンの Revit （.NET Framework4.x ベース）向けに開発されたアドインプロジェクトを Revit 2025 に移植する際、.NET 8 へ移行して再ビルドする必要があります。

今回は、既存の .NET Framework 4.x ベースのプロジェクトを .NET 8 へアップグレードする手順について、ご案内いたします。

Visual Studio 2022 と .NET 8 の入手

.NET 8 コードをビルドするには、Visual Studio 2022 (17.8 以降)が必要です。また、.NET 8 も必要に応じて、インストールする必要がございます。

※Revit 2025 のビルドには、.NET SDK 8.0.100 が使用されています。

※Revit 2025 をインストールすると、.NET 8 Windows Desktop Runtime x64 8.0.0.33101 も併せてインストールされます。

.NET アップグレードアシスタントの入手

Visual Studio プロジェクトを .NET 8 ベースに移行するには、Microsoft が提供している「.NET アップグレードアシスタント」を利用することが出来ます。

.NET アップグレードアシスタントの入手ととインストールについては、.NET アップグレードアシスタントをインストールする方法で説明されています。

.NET アップグレードアシスタントがサポートするプロジェクトは、C# と VB のみです。

なお、一部、.NET 8 へ移行出来ない（コードの移植/改変が必要）なものも存在します。それらの概要は、次の記事で紹介されていますので、プロジェクトのアップグレード前に一読されることをお勧めします。

アップグレード手順

C# プロジェクトを新しい SDK スタイルのプロジェクト形式に変換
- アップグレード前に AssemblyInfo.cs ファイルのバックアップを推奨します。.NET 8 では、アセンブリ情報の一部がプロジェクトファイルに移動しています。
- 前項を参考に、.NET Upgrade Assistant ツールをインストールし、対象のプロジェクトを選択してアップグレードアシスタントを起動して、ガイドに沿ってアップグレードを実行します。
- パッケージ参照を更新します。
  .csproj ファイル内の packages.config を PackageReferences に変換します。これにより、パッケージ管理が簡素化され、新しいプロジェクト形式に合致します。
ターゲットフレームワークの更新
- .csproj 内の <TargetFrameworkVersion> を目的のターゲットフレームワークバージョンに更新します
  （例: <TargetFramework>net8.0-windows</TargetFramework>）。
- WPF アプリケーションの場合
  CSPROJ に <TargetFramework>net8.0-windows</TargetFramework> と <UseWPF>true</UseWPF> を追加します。
- Windows フォームを使用するアプリケーションの場合
  CSPROJ に <TargetFramework>net8.0-windows</TargetFramework> と <UseWindowsForms>true</UseWindowsForms> を追加します。
システム参照の削除
- システム参照はデフォルトで利用可能なため、CSPROJ から削除できます。
非互換なパッケージ、ライブラリ参照、非サポートのコードの対応
- アドインを .NET 8 に移行する際、.NET Framework 4.8 で作成したアドインが利用しているライブラリや Nuget パッケージも .NET 8 に移行されている必要があります。
- 非互換なパッケージ、ライブラリ参照、非サポートのコードを修正してください。

コンポーネントのバージョンに関する注意事項

アドインが、下記のコンポーネントを使用している場合、Revit 2025 で使用されているコンポーネントのバージョンと一致させることで、アドインの不安定になることを回避します。

CefSharp
- "cef.redist.x64" Version="119.4.3"
- "cef.redist.x86" Version="119.4.3"
- "CefSharp.Wpf.HwndHost" Version="119.4.30"
- "CefSharp.Common.NetCore" Version="119.4.30"
- "CefSharp.Wpf.NetCore" Version="119.1.20"
Newtonsoft Json
- "Newtonsoft.Json" Version="13.0.1"

一般的な問題への対処法

MSB3277 ビルド警告
- RevitAPI.dll、RevitUIAPI.dll を参照するコードのビルド時
- 対処：Windowsデスクトップ・フレームワークへの参照を追加：
  <ItemGroup>
  <FrameworkReference Include="Microsoft.WindowsDesktop.App" />
  </ItemGroup>
CA1416 ビルド警告
- Windows システム機能のみを使用する場合
- 対処１：AssemblyInfo.cs に次の行を追加：
  [assembly:System.Runtime.Versioning.SupportedOSPlatformAttribute("windows")]
- 対処２：プロジェクトファイルに下記を設定してリビルド
  <GenerateAssemblyInfo>true</GenerateAssemblyInfo>