スマートフォンで最後に素晴らしい写真📸を撮った時のことを考えてみてください。おそらく、撮影した画像をアプリで編集したり、続けて別のアプリでピカピカの AI タッチアップを施したりして、ソーシャルメディアを通じて世界中の友人と簡単に共有したことでしょう。おそらく、ファイル形式やファイルサイズを気にすることなく、別々の会社が作ったアプリを利用することでしょう。
この流れるようなスムーズな体験、品質、スピードは、オープン プラットフォームを利用しているからこそ可能なのです。
プラットフォームは、革新的で使いやすいエンド・ツー・エンドのソリューションによって、消費者の生活を変えてきました。オープンなプラットフォームとソフトウェア インタフェースは、アプリ連携を加速させ、開発者同士が互いの作業をベースにツール間で情報を流暢かつ安全に流通させることを可能にします。オートデスクがオープンな Design and Make(デザインと創造)プラットフォーム の構築に取り組んでいるのはそのためです。オートデスクは、お客様の成功と業界を未来へと導くプラットフォームの実現に全力を尽くしています。
Nemetschek (ネメチェク)グループとの相互運用の合意は、オープン プラットフォームの構築に対するこのようなコミットメントの最も最近の例です。オートデスクは、すでに Esri、Eptura、Ansys、Haas などの企業と戦略的提携パートナーシップを結んでいます。また、データやワークフローにオートデスクのエコシステムに組み込んでいる何千もの開発者や業界パートナーも存在します。しかし、今回の Nemetschek グループとの相互運用性合意は、Nemetschek とオートデスクが伝統的に競合他社と見なされてきた点が異なります。
どのような効果を期待出来るのか
この相互運用の合意は、両社が今日の人々の働き方の変化を認識していることを示しています。建築・建設、エンジニアリング、運用(AECO)およびメディア・エンターテインメント(M&E)業界の専従者は、データへのリアルタイム アクセスを望んでおり、使用するすべてのツールが協調して機能することで、より効率的に業務を遂行出来るようになることに期待をかけています。今回の相互運用協定は、言うまでもなく、そういった方向への重要な一歩になります。両社は、インダストリー クラウドとデスクトップ製品間の既存の相互運用性を強化することで、AECO と M&E 関係者間のオープンなコラボレーションを改善したいと考えています。
オートデスクと Nemetschek グループは、相互運用性協定のもと、API とインダストリー クラウドへのアクセスを相互に提供していきます。現時点でも、このオープン性により、既存のデータ交換を改善して、分野や業界を横断する新しいデータ中心のワークフローが可能になっています。
分野やベンダーを超えたオープンで相互運用可能なワークフローを実現することで、自動化を促進し、プロジェクトのあらゆる段階で、より良い意思決定のための貴重な洞察を引き出す可能性が高まります。過去にオープンなエコシステムで開発者がスマートフォン向けにどのようなアプリを作ることになるのか、誰も予想できなかったのと同じです。しかし、オープン性と顧客中心主義へのコミットメントが、プロジェクトの設計、納品、管理方法を改善し、お客様に更なる価値を提供することになると確信しています。
オートデスクは、単にお客様が何を望んでいるかを推測しているわけではありません。実際にさまざまなフィードバックを得るための試みをしています。2024年度版 デザインと創造の業界動向調査 では、業界の専門家が、人口動態の変化、持続可能性の要件、既存システムの改修の必要性によって、新しい仕事に対する前例のない需要があり、過去 5 年間で世界が急速に変化したことを広くレポートしています。また、労働力不足により、企業は従業員の生産性を高めるための技術ツールやワークフローを模索せざるを得なくなり、業務内容自体も変化していることが語られています。
とりわけ、オートデスクのお客様は、最も重要なビジネス成果の達成を支援する上で、データとデジタル トランスフォーメーション(DX)の重要性を繰り返し表明ています。
62% のお客様がデジタル トランスフォーメーションによって企業の生産性が向上したと回答しており、デジタル化が進んだ成熟企業は、業績向上などのメリットを報告する割合が他の企業より大幅に高いことが見て取れます。
More digitally mature AECO companies are also more process-mature
Source: Business Resilience Insights, AECO - 2024 State of Design & Make
しかし、一部のリーダーは、データ管理がデジタル トランスフォーメーションの取り組みの障害になっていると指摘しています。これは、レポートの文脈以外でもお客様からよく聞かれることです。:
データを生成するのは簡単で、それを保存するのも比較的安価です。しかし、適切な情報を、適切なタイミングで、適切な人々と一緒に(早期に、頻繁に)アクセスして利用し、ビジネス価値を促進する洞察を生み出すのは、依然として非常に難しい状態です。
この課題を解決し、お客様がデジタル トランスフォーメーションのメリットを最大限に享受できるようにするには、オープンなプラットフォーム環境が不可欠です。オートデスクでは、他の革新的な業界関係者と協力し、このようなプラットフォームの構築に取り組んでいます。
オープン化への絶え間ない取り組み
エコシステム間の相互運用性は、Autodesk Platform Services(APS)によって実現されています。APS には、顧客、パートナー、Nemetschek グループなどのソフトウェアベンダーがオートデスクのインダストリー クラウドや設計ソリューションに接続できるようにする API(Application Programming Interfaces)や Web サービスが含まれています。
APS を使って構築されている 3 つのインダストリー クラウド(建設業向けの Autodesk Forma、メディア・エンターテインメント業界向けの Autodesk Flow、製造業向けの Autodesk Fusion)は、ファイル形式の差によるデータの孤立化をなくし、業界の専従者が必要なときに、リアルタイムに、データにアクセスできるようにすることを目的としています。APS の目標は、(相互に繋がった)コネクテッド・チーム、コネクテッド・データ、コネクテッド・ワークフローの実現です。つまり、お客様はファイルを超えて、必要に応じて情報をプラットフォームから安全に出し入れすることが出来、ビジネス・システムをスムーズに情報に接続し、意思決定を劇的に迅速化し、エラーを削減することが出来るのです。
例えば、APSは AEC Data Model、 Manufacturing Data Model,、Data Exchangee のような新しいデータ中心の API 群で将来への飛躍を目指しています。これらは、お客様が粒度の細かいプロパティ(従来のファイル内から分解した個々の情報)を新しい方法で活用するための機能を提供します。これにより、データ自体をこれまで以上にアクセスし易くし、オーサリングからのパブリッシング、最適化と調整、システム統合、データの可視化など、多数の革新的なワークフローを繋ぐことが可能になります。現在でも 60 種類以上のファイル形式をサポートし、ファイルの変換とデータ抽出の Web サービス(Model Derivative API)を提供することで、シームレスな情報フローを実現しています。
これらの Web サービスは、すべてファイル形式やサイズを気にすることなく、相互運用性を根本から簡素化するのに役立ちます。
双方向の相互運用性をサポートするだけでなく、オートデスクはオープンな業界ワークフローを積極的にサポートしています。オートデスクは、buildingSMART Strategic Advisory Council のメンバーとして、openBIM の推進に深く関わっています。特に、いくつかのオートデスク製品は buildingSMART の IFC 認定を受けています。
設計や製造に携わる業界と、業界にサービスを提供するベンダーは、新しい時代を迎えようとしています。ベンダーは、オープン プラットフォームが関係者に多大な利点をもたらすことを認識することになるでしょう。そしてそれは、業界の専従者が、膨大なデータから特定の情報の検索や、冗長な手直し作業に手間と時間を費やす必要がなくなる時代でもあります。むしろ、自動化、AI、洞察力によってプロジェクトを最適化することに集中できるようになるはずです。
結局のところ、私たちはこの時代が、設計や製造を担う業界で働く企業やクリエイターにとって何が可能なのかについて、考え方を変える時代になると信じています。そしてそれは、今回のような動きから始まっていくのです。
※ 本記事は Autodesk and Nemetschek: Openness unleashed with Design and Make Platform | Autodesk Platform Services から転写・意訳したものです。
By Toshiaki Isezaki
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。