ご承知のとおり、昨年、AutoCAD の誕生から 40 年を迎え、現在のバージョンも AutoCAD 2023 になっています。AutoCAD 2004 以降は、ほぼ 1 年に 1 回のサイクルで新しいバージョンがリリースされていますが、それ以前は、不定期に、おおむね 1.5 年から 2.5 年のリリースになっていました。
このリリース サイクルは、AutoCAD 起動時に一時的に表示される「スプラッシュ スクリーン」にも見て取ることが出来ます。
スプラッシュ スクリーンは、もともと、製品起動時に必要なリソースをメモリ上にロードしてユーザ操作が出来るようになるまでの間、動作準備中を示す目的で用意されているものです。Windows 開発者の視点では、タイトルバーとフレームのないウィンドウ です。このため、「スプラッシュ ウィンドウ」とも呼ばれる場合もあります。「スプラッシュ」の由縁は、水たまりに石ころなどを投げ込んで、水飛沫が一時的に表れる様をあらわしたものと思います。
このスプラッシュ スクリーン、初期の AutoCAD で利用していた MS-DOS オペレーティングシステム時代には存在しなかったものです。日本では、AutoCAD EX-2 ~ AutoCAD GX5 の頃です。その後、Windows 3.1 が登場して、はじめて公式に Windows 版を販売した AutoCAD R12(日本名 AutoCAD R12J)から導入されています。
Windows 版が主流になるにつれ、スプラッシュ スクリーンが AutoCAD バージョンを特徴づける「アイコン」、平たく言うと「目印」あるいは「顔」のようになっていきます。当時は新バージョンのリリース サイクルも緩やかだったので、スプラッシュ スクリーンに力が入ってしまうことになります。
AutoCAD R13 では著名なイラストレーターによるイラストがスプラッシュ スクリーンに採用されています。AutoCAD のメイン ウィンドウ内に複数の図面を表示出来るようなった AutoCAD 2000 では、About ダイアログにスプラッシュ スクリーンで使われていた CG 画像が、当時まだ珍しかった動画として表示されていました(たしか)。AutoCAD 2005 では、日本から 横浜大さん橋 内部の写真が使われました。横浜ランドマークタワーが映り込んでいるのがわかります。
オートデスクが販売する製品の数が増えるつれ、スプラッシュ スクリーンは AutoCAD の「目印」というより、オートデスク製品間で共通のコンセプトを表現するようになっていきました。
目線を変えると、なかなか時代を感じさせるスプラッシュ スクリーン、今後も時代とともに変わっていくものと思います。
By Toshiaki Isezaki
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