1982 年の AutoCAD の誕生から、今年で 39 年を数えるに至りました。1993 年には、AutoCAD の一部の機能に特化した廉価版の AutoCAD LT も導入されています(日本では 1994 年)。
また、数十年にわたる AutoCAD のバージョンアップの間には、AutoCAD API を使った業種別製品として、AutoCAD Mechanical や AutoCAD Plant 3D、AutoCAD Map 3D などが登場しています。2018 年リリースの AutoCAD 2019 以降には、一部を除く業種別製品の単体提供を止めて、AutoCAD サブスクリプションに「業種別ツールセット」が提供されるようになっています。これにより、AutoCAD サブスクライバの方は、必要に応じたツールセット(業種別機能モジュール)の個別インストールと使用が出来るようになっています。
そして、今回、2021 年 5 月 7 日に AutoCAD と AutoCAD LT についての重要な発表がおこなわれました。
具体的には、AutoCAD LT の新規単体販売を排して、同じ価格で業種別ツールセット提供のない AutoCAD をお使いいただけるようになります。業種別ツールセット提供のある AutoCAD including specialized toolsets は、従来通り、継続しますが、便宜上、AutoCAD Plus と呼称されるようになります。
単体製品としての AutoCAD LT の新規販売が終了となるため、(日本での)AutoCAD LT の 22 年の歴史に区切りがつくことになります。
と、言っても、AutoCAD LT が直ぐになくなってしまう訳ではありません。既存の AutoCAD LT サブスクライバの方は、AutoCAD LT サブスクリプションを更新することが出来ますし、AutoCAD LT を含む Autodesk Revit LT Site などの製品は、引き続き、AutoCAD LT を同梱します。
また、AutoCAD LT サブスクライバの方が、自動的に AutoCAD を使用出来るようになる訳ではありません。AutoCAD LT サブスクリプションの契約終了を待って、新規にサブスクリプション契約いただく必要があります。
今回の変更に関する FAQ が次の Autodesk Knowledge Network 記事として用意されていますので、詳細は下記ページをご確認ください。
機能面に目を向けると、AutoCAD LT では利用出来なかった AutoCAD の機能が、従来のAutoCAD LTと同等のコストで利用可能になります。主要な機能には 3D と API カスタマイズを挙げることが出来ます。少し前に、それら機能をブログ記事でご紹介していますので、念のため、ご案内しておきます。
AutoCAD LT にない AutoCAD 機能:クラウドによる 3D の活用
AutoCAD LT にない AutoCAD 機能:アプリ利用
特に API カスタマイズは大きなメリットがあります。アドイン アプリケーションが利用出来るようになったり、API でカスタム コマンドを作成出来るようになるので、作図ツールの作成や反復タスクを自動化、他システムとの連携など、生産性向上に直結する手段を手に入れることを意味します。
なお、ここでいう AutoCAD LT の後継製品となる AutoCAD と AutoCAD Plus は、それぞれ、実際には AutoCAD 2022 単体製品と AutoCAD 2022 単体製品+業種別ツールセットということになります。このため、製品機能や利用可能な API に AutoCAD 2022 との違いはありません。同様に AutoCAD が使用するシステム レジストリなどの設定情報にも変更はありません。
本記事の内容は、2021 年 5 月 7 日現在のものです。販売価格や製品構成は今後変更されていく可能性があります。ご注意ください。
By Toshiaki Isezaki
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