AutoCAD 2013 以降、AutoCAD のインストール フォルダには、accoreconsole.exe というコンソール版の AutoCAD がインストールされています。現在では、Design Automation API for AutoCAD でコアエンジンとして使用されていて、同環境での実際の使用前にアドイン アプリケーションのテストで使用することも出来ます。
AcCoreConsole.exe は UI のない AutoCAD という位置づけで説明することが多いのですが、いくつか制限もありますので、ここでご案内しておきたいと思います。
- OPEN コマンドや NEW コマンドの実行、あるいは、アプリケーション実行コンテキストが必要な既存図面オープン、新規図面作成の API 実装は未サポート。
- Database.ReadDwgFile メソッド/AcDbDatabase::readDwgFile() の使用は未サポート。図面のメモリ展開は、AcCoreConsole.exe /i オプションを推奨。(機能として動作しますが、Design Automation 環境ではログ出力の遷移で問題が報告されています。)
- PDF などの印刷処理では、AcCoreConsole.exe にロードしたアドインが新規に作成したレイアウトは、UI 表示時のレイアウト初期化処理が実行されないため、未サポート。ただし、初期化済のレイアウトはファイルへの「印刷」処理は可能。
- ローカル環境で実行される AcCoreConsole.exe へのアドイン ロードでは自動ローダー(PackageContents.xml)は未サポート。
上記制限(最後を除く)は、Design Automation 環境でも継承されることになります。加えて、次の点が Design Automation 使用時に追加されることとなります。
- 素材ファイルのクラウド ストレージからのダウンロードと成果ファイルのクラウド ストレージへのアップロード時間を含め、Design Automation API for AutoCAD 上で動作する WorkItem の処理時間は、既定値が 100 秒、指定により、最大 400 秒を許容。この点は、Design Automation API for AutoCAD ドキュメントにも記載されています。
- 既定で使用可能な日本語 TrueType フォントは、MS ゴシック、MS P ゴシック、MS UI ゴシック MS 明朝、MS P 明朝、游 明朝、メイリオ、メイリオ UI のみです。
- これ以外の TrueType フォントを使用する場合には、ApppBundle への TrueType フォントファイルの同梱と、TrueType フォント マップ ファイル(.fmp)の実行環境への配置が必要です。ただし、この方法は Autodesk.AutoCAD+24 コアエンジン バージョン以降でのみ有効です。
- Design Automation API の実行環境には、特定のソフトウェアやドライバのインストールは、残念ながら許可されていません。このため、Design Automation API でのパラメータ渡しには、JSON か、通常の I/O 処理で利用される XML や Text 形式のファイル利用を推奨/サポートしています。
- Autodesk.AutoCAD+24 コアエンジン バージョン以降、AppBundle でアドイン ファイルの自動ロード定義に使用する PackageContents.xml において、ロード タイミングを起動時ロードを指定する LoadOnAutoCADStartup にしていると、パフォーマンス低下抑止のため、コアエンジンへのロードが実行されません。代替として、コマンド呼び出し時にアドインをロードさせる LoadOnCommandInvocation を指定してください。
By Toshiaki Isezaki
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