先日の BIM & Forge セミナーで告知していた通り、1月28日、Design Automation API for Revit がパブリックベータ版として公開されました。
これまでは、招待制で一部のパートナー様にプライベート ベータ版としてご利用いただいておりましたが、今後は、Forge アプリを開発されるデベロッパーの皆様にもお試しいただくことができます。
今回は、Design Automation API for Revit の概要をご紹介し、次回以降、複数回にわたってチュートリアル形式で開発方法をご案内いたします。
これまでリリースされてきた Forge プラットフォーム API は、 Authentication API で認証・認可を行い、Data Management API でクラウド上の CAD データにアクセスし、 Model Derivatives API でデータ変換を行い、Web ブラウザで Viewer を通じてデータを表示・閲覧することが主な用途でした。
Web ブラウザで CAD データを簡単に閲覧できる仕組みが登場したことで、より多くの潜在的なユーザー層に、CAD データを活用する機会をご提供することができました。
しかし、残念ながら、現状の Viewer は、CAD ソフトウェアのモデリング機能を搭載していないため、CAD データを作成・編集することはできません。
Autodesk は、こうした制約に対する一つの解として、Design Automation API をリリースしました。
Design Automation API は、クラウド上で CAD エンジンのコア API を利用する環境を提供します。
Forge プラットフォームを活用して、自動化されたジョブを、大規模かつ効率的に実行することができます。
- 繰り返し行う処理
- 頻度の高い処理
- 大規模な演算処理能力を必要とする処理
従来は AutoCAD のエンジンのみがサポートされておりましたが、V3 では、Inventor、3ds Max、そして Revit が追加されました。
Design Automation API for Revit は、Revit のエンジンを Forge のサービスとしてクラウド上で実行できる環境を提供します。
次のようなメリットがあります。
- Revit がローカルのデスクトップ環境にインストールされていなくても、クラウドサービスを通じて Revit アドインを実行
- Revit のサブスクリプションが不要
- これまで Revit API を利用して開発した Revit アドインのソースコード資産を再利用
- 任意のクラウドストレージ上のデータを読み取り、保存できるため、いつでもどこからでもアクセス可能
Revit アドインを Forge にアップロードし、クラウドネイティブなアプリケーションやサービスを構築すれば、Revit データを「作成」、「抽出」、「編集」することができます。
これまで、Revit のターゲット層は主に設計者でしたが、より幅広いユーザーが Revit データを活用できるようになります。
Revit アドインのプログラムでは、Revit DB API にフルアクセスすることができ、次のようなワークフローが想定されます。
- カスタムの Revit ファミリを作成
- モデル作成の自動化
- モデルデータの抽出・解析
- レポートの自動生成
- 設計基準に合わせて既存モデルを編集
- 設計図書の自動作成
ただし、いくつかの制約事項もございます。
- Revit ユーザーインターフェースの表示・操作、RevitAPIUI.dll アセンブリの参照はできません。
- REST API で直接 Revit のデータにアクセスできません。
- 複雑なセッション管理は想定されていません。(バッチ処理を想定)
- Revit アドインから外部ネットワークにアクセスすることはできません。
- ユーザーとのインタラクションが発生する処理はサポートされておりません。
先日開催した BIM & Forge セミナーの 4つ目のセッションでは、Design Automation API の概要、仕組みと開発要件、開発の流れ、制約事項などを詳しく解説しております。ぜひご参照ください。
BIM & Forge セミナーのサマリー
https://adndevblog.typepad.com/technology_perspective/2019/01/bim-forge-seminar-summary.html
Design Automation API V3 のドキュメントへのアクセス方法
デフォルトでは V2 が表示されますので、下記のリンクから直接アクセス頂くか、ドキュメントのバージョンを V3 に指定すると閲覧できます。
https://forge.autodesk.com/en/docs/design-automation/v3/developers_guide/overview/
Step-by-Step Tutorials では、Revit 版の詳細なチュートリアルをご確認いただけます。
最後に注意点として、パブリックベータ版は、より多くのデベロッパーの皆様からフィードバックを頂いて、API を改善し、機能追加の優先度を整理し、スケーラビリティを検証することが目的となります。
そのため、あくまでもプロトタイプ検証などの用途としてご利用いただき、プロダクションレベルのアプリケーションではご利用されないようお願い致します。
また今後、API が一部変更される可能性があることをご了承ください。
次回から、チュートリアルに沿って、サンプルを実装する手順を解説いたします。
By Ryuji Ogasawara
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