今回は、関連する製品/クラウド サービスが増えて分かりにくくなってきた BIM 360 について、Forge の視点から簡単に整理しておきたいと思います。
ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、Autodesk Forge がアナウンスされたのは 2016 年 11 月に米国 Las Vegas で開催した Autodesk University 2015 のことです。この当時、すでに BIM 360 Glue と BIM 360 Field といったクラウド サービスが提供されており、ベータ版という扱いで独立した BIM 360 Glue API や BIM 360 Field API も公開されていました。
その後、2016 年 6 月、米国 San Francisco での Forge DevCon 2016 で Autodesk Forge が正式にリリースされています。このリリースでは、現在の Forge が提供する基本的な API である、OAuth API、Data Management API、Model Derivative API、Viewer が正式にサポートされています。ただし、Reality Capture API と BIM 360 API については、存在は予告されていたものの、プライベート ベータ版の扱いで一般には公開されていませんでした。Forge で Reality Capture API がサポートされたのは 2017 年 11 月、BIM 360 がサポートされたのは、つい先日、2018 年 1 月(ドキュメント更新は 2 月)の事です。ただ、この時点でも、利用出来るのは アカウント管理やプロジェクト管理の一部の機能のみでした。
Forge はオートデスクのクラウド サービスで培った各種機能を、個別に Web サービス API として切り出した個々の API の総称、または、ブランド名です。その意味で、Forge の登場以前に先行して提供されていた BIM 360 Gule や Field と、それら用に用意されいた API は、どうしても現在の Forge との親和性が低い部分が出てしまうのは想像に難くありません。そこで、Forge の基盤が整いつつある今、BIM 360 の内部的な統合と情報共有を進め、既存の BIM 360 を一新する 次世代 BIM 360(別名、NextGen BIM 360、Next Generation BIM 360)として、BIM 360 を各種クラウド サービスを統合する BIM 360 プラットフォーム を構築、提供が開始されているです。
BIM 360 のプラットフォーム化によって、Design、Build、Operate といった建築・建設業のプロセス全体を、BIM 360 の名の下でカバー、提供する柔軟性が生まれることになります。また、いままで BIM 360 XXX 毎に個別に用意していたアクセス ポイントを排除出来るだけでなく、BIM 360 としてのプロジェクト データの集約と共有が可能になり、ステークホルダー(関係者)への透明性と可視性をリアルタイムに提供出来ることになります。
具体的には、建築、建設業向けの各クラウド サービスの共通データプラットフォームとして、ワークシェアリング、干渉検出の実行、フィールドレポートの作成や RFI などの発行の基盤として利用出来る利点が得られるわけです。従来から存在した BIM 360 Glue や Field といったクラシック クラウド サービスは、新しく BIM 360 Docs が担うドキュメント管理機能を中核に、BIM 360 プラットフォーム上のモジュールとして再構成された上で、今後もその機能を提供していくことになります。
次世代 BIM 360 の登場にともない、2018 年 4 月に既存 BIM 360 クラウド サービス(クラシック サービス)の製品統廃合が実施されています。
- BIM 360 Team の新規のサブスクリプション販売が中止されています。FAQ(英語)は こちら。
- Collaboration for Revit (C4R) は BIM 360 Design Collaboration に名称変更され、ドキュメント管理を担う BIM 360 Docs とバンドル販売される BIM 360 Design となっていす。
- BIM 360 Field はドキュメント管理を担う BIM 360 Docs 機能と合わせて BIM 360 Build でサブスクリプション販売されています。
- BIM 360 Glue は Forge ベースに作り直され、そのまま BIM 360 Glue 名前でサブスクリプション販売されています。
- BIM 360 Ops と BIM 360 Plan は現時点では BIM 360 プラットフォームには統合されず、従来通りサブスクリプション販売されています。
もう少し詳細に見ていくと、BIM 360 プラットフォームが提供するサブスライブ可能なクラウド サービス名(製品名)とモジュール(機能)構成は下記のようになります。
- BIM 360 Docs は、BIM 360プラットフォームのエントリーポイントであり、設計から施工までのすべてのプロジェクト情報について、コントロールされたデータとドキュメント管理機能を提供します。 プロジェクトワークフローは、次の 3 つのプロセス管理領域でサポートされています。
- BIM 360 Design は、複数の専門領域を持つ設計会社の間で、コラボレーションと成果物・納品物の調整をサポートします。
- BIM 360 Glue は、チームが複数の専門分野のモデルを調整し、モデルの集約や干渉の検出などのタスクを自動化します。
- BIM 360 Build は、RF I と提出物を管理し、建設中に品質管理と安全管理プログラムを実行する能力をチームに提供します。
現在の BIM 360 API は、BIM 360 プラットフォームのアカウント管理やプロジェクト管理の一部の実装にとどまっていますが、今回の次世代 BIM 360 化の作業を通じて Forge をベースに作り替えられていますので、各種モジュールの機能も、順次、API 化されていくことを期待したいところです。
なお、次世代 BIM 360 に関する情報は、http://blogs.autodesk.com/bim360-release-notes/category/next-gen-bim360/(英語)で情報が公開されています。また、BIM 360 の将来を占うロードマップも http://blogs.autodesk.com/bim360-roadmap/find-out-what-the-bim-360-team-is-working-on/(英語)や http://blogs.autodesk.com/bim360-roadmap/unified-bim-360-roadmaps/(英語)でご確認いただけます。
By Toshiaki Isezaki
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