AutoCAD の誕生から、ちょうど、35 年の節目を迎えた今年も、新バージョンとなる AutoCAD 2018 が発表されました。もちろん、昨年から始まった Update(更新モジュール)で導入された機能も継承しています。このため、ここでは AutoCAD 2017.1 Update で導入された機能や強化された機能も、AutoCAD 2018 の新機能としてご紹介していきます。
サポート OS についての注意
AutoCAD 2018 / AutoCAD LT 2018 がサポートする Windows OS には少し注意が必要です。前バージョンの AutoCAD 2017 と同様の Windows をサポートすることになりますが、Windows 10 のみ 64 ビット版のみのサポートになる点です。Windows 10 32 ビット版には、AutoCAD 2018、AutoCAD LT 2018 をインストールすることは出来ません。
- Windows 7 SP1
- 下記エディションの 32 ビット、および 、64 ビット版
- Enterprise、Ultimate、Professional、Home Premium
- Windows 8.1 +KB2919355 Update
- 下記エディションの 32 ビット、および 、64 ビット版
- (標準)、Pro、Enterprise
- Windows 10
- 下記エディションの 64 ビット版
- Home、Pro、Enterprise、Education
新規に購入するコンピュータには、最新の 64 ビット CPU と 64 ビット版 Windows 10 が搭載されているので、32 ビット版 Windows 10 の未サポートは特に問題にはならないはずです。古いコンピュータをお使いで、もともと搭載された Windows OS をアップグレードして Windows 10 にしている場合には、 32 ビット版 Windows 10 になっている可能性が高いので、再確認していただくことをお勧めします。コンピュータに搭載されている CPUと Windows の関係については、過去のブログ記事 CPU とグラフィックスカード から プロセッサ(CPU)+ Windows プラットフォーム の部分をご確認ください。
それでは、ユーザ インタフェース についてご案内していきましょう。ここでご紹介する内容は、AutoCAD 2018 だけでなく、AutoCAD LT 2018 にも適用することが出来ます。
ファイル ダイアログ
図面を開いたり保存したり、あるいは、外部ファイルをアタッチする場合には、必ず ファイルを選択するためいわゆるファイル ダイアログが表示されます。この際、フォルダ一覧に Windows エクスプローラと同様にカテゴリが表示されます。
このカテゴリ欄は、マウスで右クリックすると表示順序(ソート順序)を変えることが出来ます。以前のリリースでは、変更したソート順序を記憶出来ませんでした。AutoCAD 2018 は、指定したソート順序を記憶出来るようになったため、ダイアログを開く度に順序を変える必要がなくなりました。
[作図補助設定] ダイアログ
作図時のさまざまな設定を集約した [作図補助設定] ダイアログがサイズ変更出来るようになりました。このダイアログには沢山のタブがあり、その切り替えが面倒でした。AutoCAD 2018 では、ダイアログのサイズを変更して使用することで、各タブへのアクセスが容易になります。 スピン コントロールで画面外のタブを呼び出す必要はありません。
もちろん、変更したダイアログ サイズは記憶されるので、毎回、サイズ変更する必要はありません。
[色選択] ダイアログ
以前のリリースでは、RGB 値をカンマ区切りで入力した際、リターンキーで入力を確定しようとすると、入力時に値が変動してしまい、正しく色を設定することが出来ませんでした。
AutoCAD 2018 では、この挙動を改善して、入力した RGB 値で色を設定することが可能になりました。
クイック アクセス ツールバー
AutoCAD のアプリケーション ボタン横に常に表示されるクイック アクセス ツールバーに、画層一覧コンボボックス を表示出来るようになりました。表示中のリボン タブに関係なく、すばやく画層状態を切り替えることが出来るようになしました。
従来、クイック アクセス ツールバーには、 [画層プロパティ管理] パレットを表示する目的で、LAYER[画層管理] コマンドを起動するボタンしか配置することが出来ませんでした。
ステータス バー
AutoCAD 2016 で導入された SYSVARMONITOR[システム変数モニタ] コマンドを使用すると、意図しないシステム変数を監視して、変更時に通知を受けることが出来ます。AutoCAD 2017までは、通知後にシステム変数の値を値セットするために、通知バルーンから [システム変数をモニタ]ダイアログを開く必要がありましたが、AutoCAD 2018 では、ステータスバーに表示された通知アイコンから右クリック メニューでシステム変数をリセット出来るようになりました。
ラバーバンド色
オブジェクト作図や編集時に表示されるラバーバンドの色が指定可能になりました。これによって、作図ウィンドウの背景色にあわせて目立つ色に変更が出来るので、オブジェクトが多数作図されて込み入った状態でも、正確にクロスヘア カーソルの位置を判別しやすくなります。
AutoCAD 2017.1 Update で導入された機能です。従来、交差選択や窓選択をしながらズームや画面移動(パン)などの画面操作をした場合、選択したオブジェクトが画面の表示範囲からはずれてしまうと、それらの選択状態が解除されてしまいました。
AutoCAD 2018(AutoCAD 2017.1 Update)では、画面新設された SELECTIONOFFSCREEN システム変数を 1 に設定することで、従来、事前選択中に画面外に移動されたオブジェクトの選択状態も、選択セットに保持されるようになります。
線種ギャップ選択
AutoCAD 2017.1 Update で導入された機能です。 以前のリリースでは、破線や一点鎖線など、線種の空白部分(スペース部分)でオブジェクトを選択したり、オブジェクト スナップ(O スナップ)することが出来ませんでしたが、AutoCAD 2018(AutoCAD 2017.1 Update)で、この部分が改善されています。
DGN インポートした DGN 線種と幅を持つポリラインやスプラインなどでも、線種の空白部分でオブジェクトを選択したり、オブジェクト スナップさせて作図することが出来るようになりました。
次回は、図面化 に関連する新機能をご紹介します。
By Toshiaki Isezaki
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