Revit の最新バージョンとなる Revit 2016 が発売されました。
Revit 2016 では、次の 4 つの領域をテーマとする新機能の追加と改良・改善が行われております。
①拡張性(スケーラビリティ)
大規模化・複雑化するモデルの表示・操作性の改善。
②コラボレーション
多拠点間で複数分野が連携する大規模プロジェクトのためのコラボレーション機能。
③モデリング
ジオメトリデータや要素のデータにアクセスする方法。
④効率性
より効率的に設計するためのユーザーインターフェースの改良、新機能の追加。
今回は拡張性(スケーラビリティ)について、新機能や改良・改善された機能をご紹介いたします。
拡張性(スケーラビリティ)
拡張性(スケーラビリティ)は、昨今の大規模化・複雑化するBIMプロジェクトにおいて、どのようにモデルを取り扱うか、という課題へのアプローチです。
これまでは、モデルが大規模になっていくに従い、UI操作や再描画処理が重くなるため、モデルを分割して管理する手法がとられてきました。
Revit 2016 では、モデルの大きさに関わらず、一定のパフォーマンスを維持できるように、以下のような新機能と改善点が提供されました。ここでの拡張性とは、単にパフォーマンスの改善を目的とするのではなく、モデルの規模に左右されないスケーラブルなシステムとしてのユーザーエクスペリエンスを提供することをテーマとしています。
・リンクモデルのパフォーマンス改善
・派生データの更新を並列処理化
・シンボル共有のシステムパフォーマンス改善
・プログレッシブ ディスプレイ
今回のバージョンでは、バックグラウンドで処理を実行しながら、ユーザーが常にスムースに操作ができることをコンセプトとして設計されております。
リンクモデルのパフォーマンス改善
リンクモデルのグラフィックス表示、並列処理、再描画処理が強化されています。
派生データの更新処理を並列化
新しいフレームワークとして、派生データの更新処理を並列化する仕組みが導入されました。
副次的なデータの処理をバックグラウンドプロセスに移行することで、ユーザーはUIによるモデル操作をブロックされずに、そのまま設計作業を継続することができます。必要に応じて、2次CPUで副次データの更新処理を行います。
このシステムは、現在のところ「色の塗り」の更新処理に適用されておりますが、今後は汎用的な非同期処理のフレームワークとして拡張されていく予定です。
シンボル共有のシステムパフォーマンス改善
シンボル共有(システムファミリを通じて共有されているジオメトリ)において、最大30%のメモリを節約できるようになりました。またモデル操作のパフォーマンスも平均 10% 向上しました。
プログレッシブ表示に対応
Revit 2016 はビューの再描画処理においてプログレッシブ表示に対応いたしました。プログレッシブ表示とは、ビューの操作に応じてモデルが徐々に描画されていく間に、ユーザーがモデル要素に対する操作を継続することができる機能です。
このように Revit 2016 では、ユーザーエクスペリエンスの観点から、モデルの規模に応じて操作性が損なわれることのないように、並列処理のアーキテクチャやプログレッシブ表示が導入されました。
次回は、弊社のクラウドサービスと連携してご利用いただける新しいコラボレーション機能についてご紹介いたします。
By Ryuji Ogasawara
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