Fusion 360 が更新されました。すでに Fusion 360 がインストールされている環境で Fusion 360 を起動すると、下記のダイアログが自動的に表示されるので、[Install] ボタンをクリックすることで製品を更新インストールすることが出来ます。
ユーザ インタフェースの日本語化は、今回も見送られていますが、新規に Fusion 360 をお使いいただく場合には、http://fusion360.autodesk.com/about から Fusion 360 Trial をお試しいただくことが出来ます。
さて、非常に速いスピードで Fusion 360 が更新されているのは、さまざまなフィードバックを得て、よりよい製品を目指してる証でもあります。はじめて Fusion 360 をお使いいただく場合には、製品起動直後に表示されるガイド画面から、Tutorial を利用して、実際にモデルをロードして製品操作を体験していただくことをお勧めします。
英語になってしまいますが、右側に表示されるガイドに沿って、自分のスピードでステップ毎に学習していくことが出来ます。
Tutorial へのアクセスは、Fusion 360 起動後にエディタ右上の (?) ボタンから「Step-By-Step Tutorials」メニューから、いつでもアクセスすることが出来ます。
今回の主な機能更新では、注目すべき点として、ユーザインタフェースの大きな変更を最初に挙げることが出来ます。従来、Fusion 360 起動時には、Dash Board(ダッシュボード)が表示されて、プロジェクトや個別データへアクセスしていましたが、このバージョンから Fusion 360 エディタの左側にData Panel を搭載したため、ダッシュボードが削除されています。
Data Panel は、編集するプロジェクトやデータへのアクセスをダッシュボードに代わって提供します。パネル自体は非表示にすることが出来るようになっているので、エディタを中心にした一般的な CAD 画面と同じように作業出来るようになりました。
Data Panel からは、Web ブラウザを利用してプロジェクト管理を行うことが出来ます。従来、Fusion の画面内に Autodesk 360 Web(現 A360 Web)の画面が表示されていましたが、この冗長性が省かれたかたちです。
なお、その他、今回の更新で実装されたり、改められた機能の概要は、次の動画でご確認いただけます。
特筆 すべきなのは、Tech Preview 版として Fusion 360 API が提供された点です。Fusion 360 では、もともと、Script 環境には Python スクリプトでカスタマイズする環境を用意することになっていましたが、API モデルを一新して、新しく構築し直した経緯があります。
Python に変わって登場する新しいスクリプト(API)環境は、JavaScript API です。JavaScript API は、Web 開発の場ではメジャーな開発言語です。最近では、 AutoCAD 2015 JavaScript API や Autodesk 360 View & Data サービス のクライアント API としても採用されている、現在、オートデスクでもホットな API と言えます。
Fusion 360 の JavaScript API Tech Preview には、あらかじめサンプルが組み込まれていますので、その実行や編集も、すぐに確認することが出来ます。次の動画は、ボルトを自動作成する JavaScript API サンプルの実行とソースコードの表示(編集)する手順を紹介するものです。ソースコードの編集には、オープンソースである Adobe Brackets が利用されています。Adobe Bracket は、そのソースコードも GitHub 上で 公開 されています。
ソースコードのデバッグでは、残念ながら Brackets は利用できません。AutoCAD 2015 の JavaScript と同様に WebInspector を利用します。次の動画は、先に紹介した Fusion 360 のボルト作成の JavaScript コードを、WebInspector 上でステップ実行する手順を示しています。
JavaScript を利用する都合上、コードをホストする HTML ファイルが必要となりますが、その内容はシンプルなものなので、開発する上で障害にはならないはずです。
Fusion 360 API (JavaScript API)は Tech Preview の状態ですが、ドキュメントも Fusion 360 のオンラインヘルプの一部として用意されています(英語)。オブジェクト モデル も用意されているので、Inventor の COM API でアドインを開発したり、Inventor VBA で COM プログラミングされた経験をお持ちなら、さほど違和感を感じずにスクリプトを開発することが出来るはずです。
開発言語こそ異なりますが、Fusion 360 と JavaScript API の関係は、デスクトップ製品である Inventor と Inventor VBA の関係に似ています。次世代の VBA として、JavaScript API を習得するチャンスでもあります。
この機会に、一度お試しください。詳細は、別の機会にご紹介したいと思います。
By Toshiaki Isezaki
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