Windows XP のサポート切れにともなって、AutoCAD 2014 へのアップグレードを計画されている方が多いようです。その際に、現在お使いの AutoCAD バージョンから、最新の AutoCAD 2014 までの間に、そのような機能が追加されたのか、具体的に知りたいという要望が寄せられるようになっています。そこで、数回に渡って、AutoCAD 2010 から AutoCAD 2013 の各バージョンで追加や改善された新機能を、動画も含めて記載しておきたいと思います。
まず、今回は、AutoCAD 2010 での機能についてダイジェストで紹介していきます。
詳細は、下記の AutoCAD 2010 概説書(プレビュー ガイド)をご参照いただければと思います。
パラメトリック図面
AutoCAD 2010 の新しい強力なパラメトリック図面機能では、設計意図に基づいて図面オブジェクトを拘束できるため、生産性が劇的に向上します。幾何拘束と寸法拘束によって、オブジェクトを修正しても特定の関係と計測値が維持されます。幾何拘束と寸法拘束を作成し管理するツールは、[パラメトリック] リボンタブから使用できます。このリボンタブは、[2D 製図と注釈] ワークスペースに自動的に表示されます。
ダイナミック ブロック
ダイナミック ブロックは、幾何拘束と寸法拘束をサポートするよう拡張されました。ダイナミックブロックの種類を示すテーブルを定義することもできます。さらに、ブロック編集環境についても一般的な拡張が行われています。
いままで AutoLISP や VBA などでプログラム カスタマイズで対応していたような形状を、ダイナミック ブロック定義に拘束機能を利用することで置き換えることが出来るようになります。
PDF サポート
AutoCAD 2010 における PDF のサポートがさらに強化されました。パブリッシュされた PDF ファイルの精度がさらに高くなったうえでファイルサイズはさらに小さくなり、出力された PDF はアンダーレイとして図面にアタッチできるようになりました。
PDF 出力の改善
PDF 出力は、従来の AutoCAD よりもさらに柔軟になり、高品質の出力が可能になりました。既定のベクトル解像度は、線の太さを正確に再現するために、従来よりも小さいファイルサイズを保ちながら、400 dpi から 600 dpi に高められました。また、PDF 出力の表示品質を向上させるために、TrueType フォントをグラフィックスではなく文字として出力できるようになりました。その結果、表示品質を高めるだけでなく、文字ハイライト、文字検索、PDF ビューア間での文字のコピーを行えるようになりました。その他の改良点として、線の重ね書きコントロール、画層情報の保存、出力された PDF の自動プレビューがあげられます。
AutoCAD 2010 では、AUGI® (Autodesk User Group International)からの要望リストのトップの 1 つである「AutoCAD 図面への PDF のアンダーレイアタッチ」に対応しました。 PDF をアンダーレイとしてアタッチすることにより、DWG、DWF、DGN、イメージファイルなどの他の外部参照と同様の操作を行えます。 使い慣れたオブジェクト スナップを PDF ジオメトリの主要な点に対して利用することも可能です。この機能に関する詳細は、外部参照のセクションを参照してください。
フリーフォーム デザイン
AutoCAD の 3D 設計機能は、フリーフォームデザインの導入によって大幅に強化されています。 AutoCAD 2010 の新しいツールによって、自由な形状の流れるようなメッシュを作成し修正することができます。新しい[メッシュモデリング]リボンタブにより、メッシュの作成ツールと編集ツールに簡単にアクセスできます。 [プリミティブ]パネルには、プリミティブメッシュ形状(直方体、円錐、円柱、角錐、球、くさび、トーラス)を作成するツールに加え、回転、ルールド、タビュレート、エッジメッシュ サーフェスを作成するツールがあります。
メッシュ オブジェクトでは、従来型のプリミティブな形状を基にした場合でも、増分的にスムーズ化することで、カーブした形状を作成することができます。スムーズ化されたメッシュ プリミティブを作成するプロセスは、ソリッドプリミティブを作成するプロセスとよく似ています。たとえば、スムーズ メッシュ円柱を作成する場合のプロンプトやオプションは、ソリッド円柱を作成する場合と同じです。既定では、メッシュ プリミティブはスムーズ化されていません。メッシュ作成時に設定オプションを指定することにより、スムーズレベルを調整することができます。スムーズ レベルを 0 に設定すると、直線エッジを持つ形状が作成されます。スムーズ レベルの値を大きくすると、より丸みのあるエッジになります。スムーズオブジェクト ツールを使用することで、既存の 3D ソリッド、3D サーフェス、3D 面、ポリゴンメッシュ、ポリフェースメッシュ、リージョンポリライン、閉じたポリラインを、メッシュ オブジェクトに変換できます。指定したスムーズレベルでメッシュオブジェクトを作成した後でも、[プロパティ]パレット、またはメッシュリボンパネルにあるメッシュ編集ツールを使用して、スムーズレベルを簡単に増減できます。オブジェクトのスムーズ レベルの最大値は「レベル 4」です。ただし、メッシュリファインツールを使用して、オブジェクトの現在のスムーズ レベルを新しい基準として設定し、それ以上のスムーズレベルの設定を可能にすることもできます。 しかし、スムーズレベルの増加とリファインを繰り返すと、オブジェクトが複雑になりすぎ、パフォーマンスに影響します。それぞれの長所を生かすには、まずスムーズレベルを低くしたままでモデルの作成を行い、基本的な形状が完成したところでスムーズレベルを上げると良いでしょう。また、スムーズレベルの基準をリセットすることなく、個別の面にリファインを適用することもできます。これにより、さらに精密なモデリングが必要な範囲を限定することが可能になります。
次回はAutoCAD 2011 で新機能だった内容についてご案内しましょう。
By Toshiaki Isezaki
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