3 回 に渡ってオートデスクのクラウド サービス Autodesk 360 と Autodesk 360 に含まれる基本的なサービスをご紹介しました。今回は、それらサービスが用いているテクノロジとコンテンツの関係についてお話したいと思います。まず、各種サービスのアクセス方法を振り返ってみましょう。
まずは、なぜ、Web ブラウザで動作するように作られたサービスに、AutoCAD WS Mobile などのモバイル専用アプリケーションが用意されているのか?という疑問を解決していきましょう。これには理由があります。もちろん、小さな画面を指でタップするため、メニューなどのユーザ インタフェースを大きめに表示する必要があるのも理由の 1 つです。実は、もっと重要な理由として、モバイル デバイスでもコンテンツを正しく表示するために専用アプリケーションが必要、というものがあります。
簡単な例をご紹介しましょう。みなさんがいまお使いの Web ブラウザでオートデスクの Web ページ http://www.autodesk.co.jp を開いてみてください。現在のトップページ中央には、Adobe Systems 社が提供している Adobe® Flash® Player で動的なコンテンツ(アニメーション等)を表示するようになっています。同じページを iPhone や iPad などの iOS デバイスに搭載されている Web ブラウザ Safari で開くと、Flash Player コンテンツの部分が真っ黒になって、コンテンツが正しく表示されないことがわかるはずです。
iOS 搭載デバイスで Flash Player が表示されない理由は簡単で、iOS を提供する Apple 社が Flash Player をサポートしていないためです。この点は、さまざまなトピックが Web 上で公開されているようなので、ここでは割愛しておきましょう。デスクトップ製品で使われる Web ブラウザでは、アニメーションなどの動的なコンテンツに Flash Player を利用してきた経緯がありますし、現在でも多く利用されています。Apple 社が iOS で Flash Player をサポートしていないのは、Flash Player でしか実現できなかった動的コンテンツの表示が、別のテクノロジでも可能になってきたためです。また、背景には、そのような新しいテクノロジが、Web テクノロジを標準化するための非営利団体である W3C によって策定されつつある、という事実があります。
そのテクノロジとはいったいなんでしょう?
それは最近 Web の世界で話題になっている HTML5 と HTML5 に関連して語られることが多い CSS3 などです。
ここ数年の間に Web 業界の世界ではじまっているのは、HTML5 の積極的なサポートとコンテンツ作成なのです。決して Adobe Flash Player の機能が劣っているわけではありませんが、標準化されたテクノロジを使用する動きは必然だと思います。もちろん、オートデスクも例外ではなく、HTML5 の導入を着々と進めています。ところが、先の AutoCAD WS に代表されるように、残念ながら HTML5 の導入に至っていないサービスも存在するのが実情です。現在では、日本語版の Windows に組み込まれている Web ブラウザ Internet Explorer 以外にも、多くの Web ブラウザが提供されているのは周知のとおり。ところが、Web ブラウザによっては、HTML5 のサポート状態に差があるのです。
ここで、また例をご紹介します。Microsoft 社が開発者用に提供している Web コンテンツがあります。http://ie.microsoft.com/testdrive/Graphics/Bayou/Default.html を開いて見てみてください。
どう表示されましたか?
このページは、入り江の写真を背景、陰影で表現したホタルが飛び回るアニメーションを表示します。もし、ホタルの代りに文字が表示されるようなら、お使いの Web ブラウザが、HTML5 と CSS3 が提供する機能をサポートできていない可能性があります。
ここでの問題は明確です。オートデスクのような企業が Web ページ用に作成したコンテンツが、ユーザ側が使用する Web ブラウザの能力とミスマッチを起こしているのです。もう少し時間がたてば、問題は解決されていくのだと思いますが、クラウドの時代を迎えてしまった今、それを待つには時間がかかり過ぎてしまうかも知れません。少なくとも、現在は Web テクノロジの過渡期と言えると思います。
Autodesk 360 に話題を戻しましょう。各種サービスでは、コンテンツ表示に次に紹介するような比較的新しいテクノロジや形式を使用しています。
まず、Autodesk 360 上で DWF ファイルを表示する際、2D 図面は HTML5 の Canvas 機能、3D モデルの表示に WebGL が利用されています。
WebGL は、Autodesk 360 Rendering の露出調整や Revit からの日照シュミレーション作成の過程で表示される露出調整画面のコントロールでも利用されています。
Autodesk 360 Rendering のパノラマ表示では、AutoCAD WS Web と同じように Adobe® Flash® Player が使われています。
Autodesk Showcase から Autodesk 360 にアップロードしたプレゼンテーション アニメーションの再生や、Autodesk 360 Rendering の日照シミュレーションで作成されたアニメーションの再生には、WebM が使用されています。
このように、Autodesk 360 には、最新の多くのテクノロジが使用されています。 今後、Flash Player 用に作成されているコンテンツは、徐々に HTML5 と関連テクノロジ(ここでは広義な意味で CSS3、WebM、WebGLを含む)に移行していくことが容易に想像できるかと思います。
ここまでの読み進んでいただいた方には、Autodesk 360 の オンラインヘルプ にサポートする Web ブラウザの差がることがご理解いただけたかと思います。残念ながら、お使いの Web ブラウザやバージョンによっては、Autodesk 360 で扱うことができるコンテンツを正しく表示できない場合があります。もし、次のようなエラーが表示されてしまったら、違い Web ブラウザや Web ブラウザ異を最新に変えてみることも検討していただければと思います。
お客様によっては Web ブラウザやバージョンを固定している企業が多くありますので、ブラウザの変更は容易ではないかと思いますが、あえて言えば、現在、Google ChromeTM や Mozilla® Firefox® がお勧め、と言えるかも知れません。
By Toshiaki Isezaki
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